サンライズの奮闘は「反転攻勢の兆し」なのか? 今後にあまり期待しない“控えめ夜行列車論”を語ろう
「日常的に乗れる存在」としての夜行列車の存在意義を、これまでの議論をおさらいしつつ、あまり期待せずに見つめる。
サンライズ存続の未来

コアな鉄道利用者にとっては、サンライズに類する夜行列車を他の区間にも運行してほしいと望むだろう。だが、今のところ現実的でないので、ひとまずおこう。
まずは、せっかく好評を博しているサンライズが末永く走ることを考えたい。1998(平成10)年に運行開始したサンライズは、既に四半世紀が経過している。車両の更新工事は施されたものの、一般的な車両の耐用年数に近づきつつあるのが現実なのである。
先述のウエストエクスプレス銀河の特徴は、とっくに減価償却の終わった旧型車両(国鉄時代に製造された近郊電車117系)を改造したことにある。導入コストを抑えたことで、定員が少なく利益率の低い夜行列車に現実的な道を示したといえる。同様に、今後、サンライズの車両に更新の必要が出てきた際には、既存車両の再利用も考えられるだろう。
ところで、なぜ
「サンライズを他路線にも」
という議論が現実的とは思われないのか。それは、国レベルの政策が伴わないからだ。
欧州では近年、夜行列車が復権しつつある。日本同様、鉄道の高速化や航空機の普及で一時は衰退したが、温室効果ガスの排出削減効果が評価され、航空機や自家用車などに変わる存在として見直されたのだ。2023年もオーストリア鉄道の夜行列車ブランド「ナイトジェット」が新路線を開設した。
一方、日本では東京~関西や東京~東北などに毎晩、複数の夜行バスが運行されているが、それらを環境問題の観点から鉄道に転換しようという動きは見られない。
幸い近年のサンライズは好調のようだが、そろそろ列車単体の営業成績で改廃を決めるのとは別の評価基準を、見いだす必要があるのかもしれない。それは夜行列車にとどまらず、
「鉄道の価値」
そのものを見直す視点ともいえるだろう。