サンライズの奮闘は「反転攻勢の兆し」なのか? 今後にあまり期待しない“控えめ夜行列車論”を語ろう

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「日常的に乗れる存在」としての夜行列車の存在意義を、これまでの議論をおさらいしつつ、あまり期待せずに見つめる。

ガラガラだった時期

ノビノビ座席(画像:写真AC)
ノビノビ座席(画像:写真AC)

 近年のサンライズに対する“追い風”の第二は、インバウンド(訪日客)の増加などに伴う旅行需要の拡大によって、ビジネスホテルの価格が高騰したことである。

「航空機 + ビジネスホテル」
「新幹線 + ビジネスホテル」

が相対的に高値となり、結果的にサンライズに価格面での優位性がもたらされた。コロナ禍以降、原油価格上昇などを受け、航空料金が上昇したことも、この傾向に拍車を掛けたようだ。

 第三は、コロナ禍である。緊急事態宣言中などコロナ禍のピークを除けば、自粛期間であっても、サンライズの個室は満席に近い状況が続いていた。これは、接触感染を避けたい旅行者が個室を選んだ結果といえよう。

 対照的に、同じサンライズでも、カーペット敷きの客室に雑魚寝(各人の区画は分かれている)する「ノビノビ座席」は、最も格安の座席にもかかわらず、連日空席が続いていた。訪日客が制限され、新幹線や航空機に空席が目立っていた時期にも、個室を生かして盛況だったのである。

 実は、女子旅によってクローズアップされる前のサンライズは、かなり空いていた。特に平日はガラガラで、1両に数人しか乗っていないこともあったし、週末でさえ、当日でもチケットが手に入った。最近のように、車内のシャワーの利用者が行列するようなことは少なかった。乗客数の推移のデータが公開されていないのが残念だが、“追い風”がなければ、危うい状況ともいえたのだ。

 そういう意味では、近年のサンライズは、冒頭に定義した「実用」の定義から、少しずつ外れているのかもしれない。

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