「電池交換式EV」は一つの柱に育つか 中国政府も推進【連載】和田憲一郎のモビリティ千思万考(5)

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中国で電池交換式EVが急拡大。中国政府も電池交換ステーションの建設を後押しする。従来の固定型バッテリーEVと比べてユーザー側のメリットも大きい電池交換式は、今後、EVの一つの柱に成長していくのか。

日本に先例があったが…

ENEOSが協業するample社の交換ステーションのイメージ(画像:ENEOS)。
ENEOSが協業するample社の交換ステーションのイメージ(画像:ENEOS)。

 振り返ると、電池交換式EVはこれまでになかったわけではない。2010年初頭、ベタープレイス社が日本において電池交換をメインとする新ビジネスモデルの構築を公表した。しかし、当時は自動車メーカー、電池メーカーとも、電池が競争領域のため積極的に参加しなかった。また、EVは黎明期のため、進化スピードが著しく、形状なども固定化されることに後ろ向きであったし、交換した電池に対する品質保証懸念も考えられた。結果として、ベタープレイス社は行き詰まり2013年5月に清算となった。

 筆者も、これまで電池交換式EVは普及が難しいと考えてきたが、中国のようにEVが急激に普及し、かつトラックまでもEV化の推進が始まると、多くの車両が充電スタンドで充電するのではなく、ある規模の車両は、充電した電池を交換することが理にかなっているように思える。また、交換時間、車両価格、品質の3点が揃っていることも大きい。

 筆者の勝手な予想であるが、中国の場合、2030年には新エネルギー車の中で、乗用車部門で2割、トラック部門では3割が電池交換式なるのではと考えている。

 なお、日本でも似たような動きはある。2021年6月、ENEOSホールディングが北米のスタートアップ企業Ampleと組んで、電池交換式の実証試験を行うと発表した。タクシーや貨物輸送事業者を対象に、稼働率、運用コスト、サービス料金、諸規制などを検討するようだ。

 ENEOSホールディングの場合、既存のガソリンスタンドを将来的に電池交換ステーションとして活用できる点も大きなメリットであろう。しかし、日本ではまだ電池交換式の車両も少なければ、電池を供給できるところも少ない。上記3つの要件を揃えることができるかが実用化のカギとなるのではないだろうか。

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