「電池交換式EV」は一つの柱に育つか 中国政府も推進【連載】和田憲一郎のモビリティ千思万考(5)

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中国で電池交換式EVが急拡大。中国政府も電池交換ステーションの建設を後押しする。従来の固定型バッテリーEVと比べてユーザー側のメリットも大きい電池交換式は、今後、EVの一つの柱に成長していくのか。

なぜいま「電池交換式」なのか 「早い安い」だけでないメリット

トラクター。キャブの背面のバッテリーは5分で交換できるという(画像:上汽依維柯紅岩)。
トラクター。キャブの背面のバッテリーは5分で交換できるという(画像:上汽依維柯紅岩)。

 なぜ今、電池交換式EVが普及してきたのかと考えると、ユーザー視点でみた場合、3つの利点があるように思う。

●充電に比べ、電池交換式EVは交換時間が極めて短い

 電池交換式EVの場合、乗用車EVでは交換時間に1~2分程度、EVトラックでも3~5分であり、電池交換ステーションに入庫して短時間で済む。対して充電の場合は、急速充電でも乗用車EVで80%まで約30分、EVトラックでは2~3時間を要する状況で、交換式のほうが圧倒的に早い。ガソリン車の給油より早いといっても過言ではないくらいである。

●車両価格が安い

 EVは電池価格が高価であるため、必然的に車両価格も高くなる。しかし、電池交換式EVの場合、最初から電池を差し引いた価格で販売していることから、ユーザーにとっては購入価格が安くなる。電池交換式EVとして有名なNIOの場合、電池交換式を選択し、レンタルとすることで車両価格は約120万円安くなるようだ。また、電池交換は月額1万6000円前後のサブスクリプションサービスに対応しているとのこと。

 EVトラックの場合はさらに差が大きくなる。電池価格を差し引いた車両価格は通常に比べて200~300万円差し引いた設定が多い。電池交換費用も月2万円前後とのこと。このような影響のためか、中国では、ルートがほぼ固定された場所を走行するトラックを中心として、既に1万台以上のEVトラックが実用化されている。

●電池交換式EVの電池は電池メーカーが主導

 実はこれが購入するユーザーからみて、最も大きな安心材料なのかもしれない。電池交換式乗用車のNIOやEVトラックは、車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)が主導して実用化している。実際の電池交換サービスは、他の民間企業に任せているものの、電池を交換する際の技術、品質的な部分は電池メーカーが主導しているため安心感につながっている。またCATLは主要トラックメーカーを集め、電池サイズや取り付け方法などの標準化を進めているようだ。

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