「働くEV」なら小容量の電池もあり? メルセデスが商用EVバンに小型バッテリー版追加
ラストワンマイルにおける「働くEV」の可能性

メルセデス・ベンツ・バンズが2021年10月、メルセデスブランドの商用EVミニバン「eVito Tourer」に、従来のバッテリー容量90kWhのモデルに加えて、60kWhのモデルを追加すると発表した。
eVito Tourerはこれまで主にホテルのシャトルバスや大型タクシー、公共交通機関におけるオンデマンド・モビリティなど、法人の旅客輸送用の電気自動車(EV)として利用されてきた。
今回発表された60kWhバッテリー版は、決まった経路を走る巡回用や学校の送迎用といった主に短い距離を走行する用途を想定したものだ。バッテリー容量を減らすことにより、手頃な価格を求める顧客や、150kgの車体軽量化によって積載量が増えており、荷物の多い顧客にも向くだろう。
60kWhバッテリー版の航続距離は217~239km。急速充電機能は、標準で50kW、オプションで80kWを選択可能だ。この場合、約35分でバッテリーを10%から80%まで充電できる。
eVito Tourerは日本には導入されていないが、商用EV導入のニュースはここ最近よく聞かれるようになった。
ある程度決まったルートを走る場合や、走行エリアが限定される用途については、EVの航続距離の短さは欠点にはならず、逆に静粛性やメンテナンスの手間が少ないこと、電気代の安さなど、EVの特徴がメリットになる場合もある。
佐川急便がEV商用バンを大量導入したことからも分かる通り、ラストワンマイルにおけるEV利用には上述のようなメリットもあり、また企業としてのカーボンニュートラルへの取り組みが株価に対してポジティブに作用する可能性もある。今後も同様の取り組みが増えることになるだろう。
乗用車版「EQV」もラインナップ
EVであっても、大きな荷物や重量物を積むためのスペースを確保したい消費者向けに、乗用車版である「EQV 250」もラインナップされた。航続距離は213~236kmで、80kWの急速充電が可能だ。
他のメルセデス・ベンツモデルと同様、ダッシュボード一面を覆う横長の液晶画面を備えたMBUXインフォテイメントシステムなどの乗用車向けインテリア装備が用意されている。