日本の船舶開発、もはや「中韓」に絶対負けられない土壇場事情【連載】方法としてのアジアンモビリティ(6)
- キーワード :
- 船, アンモニア燃料船, 方法としてのアジアンモビリティ
急速に変化・成長する経済圏として、世界的に注目されているアジア。この地域発のモビリティ・アプローチが、今後の経済において重要な役割を果たすことはいうまでもない。本連載では、アジアにおけるモビリティに焦点を当て、その隆盛に迫る。
注目集まるアンモニア燃料船

こうしたなか、いま大きな期待を集めているのがアンモニア燃料船だ。もちろん課題は少なくない。
アンモニアは燃焼の際に、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を排出する。また、アンモニアは毒性、腐食性があるため、安全な貯蔵・運搬技術の開発が必要とされる。さらに、水素と同様にアンモニアもエネルギー密度が重油に比べて低いため、重油と同量の熱量を得るためには
「2.7倍」
の容積が必要となる。このようなさまざまな課題を克服し、次世代船舶の開発で中韓に先んじることが日本の造船業復活には不可欠だ。
そんななか、いま
・日本郵船
・IHI原動機
・日本シップヤード
・ジャパンエンジンコーポレーション
・日本海事協会(ClassNK)
の5者によって、アンモニア燃料船の開発が進められている。2024年6月にはアンモニア燃料タグボートが就航される計画だ。一方、外航船については2026年の就航を目指している。
だが、韓国と中国の造船メーカーもアンモニア燃料船の開発に乗り出している。サムスン重工業は、巨済造船所内に「アンモニア実証設備」を新たに造成する計画で、2023年6月には巨済市の製造許可を取得している。同社は、8月にはアンモニア焚きオイルタンカーおよびコンテナ船向け燃料供給システムについて、ClassNKから基本設計承認(AiP)を取得した。
一方、中国のCSSCもアンモニア燃料船の開発を進めており、CSSCの大連船舶重工はアンモニア燃料の21万重量トン型バルカーを開発。2022年2月にはロイド船級協会(LR)からAiPを取得している。