山梨県に「空港」は必要なのか? 県知事が会見でブチ上げ、過去の教訓はどこへ行ったのか
山梨県が県内に空港を設置する可能性について、調査業務の発注を告知したことが注目されている。果たして、山梨県に空港は必要なのか。
過去には建設不可能の結論も

空港を持たない山梨県だが、日本で旅客機の離着陸が可能な空港がない県は
・栃木県
・群馬県
・埼玉県
・神奈川県
・山梨県
・岐阜県
・三重県
・滋賀県
・京都府
・奈良県
の10県だ。
山梨県では過去に何度も空港建設の機運が高まっている。
小型機で全国各地を結ぶコミューター航空への関心が高まった1980年代後半、山梨県も名乗りを上げたが、構想段階でストップ。それでも空港熱は高く、山梨県は1992(平成4)年に需給予測調査を行っている。この調査では
「不可能」
という結論に至っている。
山がちな地形のため、ジェット機が離着陸できる3000mの滑走路を持つ空港を建設することは物理的に不可能だったからだ。調査では、1200mの滑走路を持つコミューター航空は実現可能だが、採算が合わず、プロジェクトが承認される可能性はないと結論づけられた。
にもかかわらず、1999年、県内経済界は再び空港建設を求める運動を始めた。このとき、山梨空港建設を推進する会が結成され、運動が活発化した。
当時の構想は、日本航空学園双葉滑空場(山梨県甲斐市)の滑走路を延長することだった。施設には830mの滑走路があり、現在は山梨県消防防災航空隊のヘリポートとして使用されているほか、軽飛行機やグライダーの離着陸にも使われている。
当時の構想では、この滑走路を延長して小型ジェット機の離着陸を可能にすることになっていた。この動きは一定の盛り上がりを見せたが、採算性が疑問視され、事業化されることはなかった。