地方都市に広がる「医療モール」 駅前再開発の希望となるか、はたまた周辺環境悪化の権化となるか
駅前再開発で商業施設に医療機関を集める医療モールが地方都市で広がっている。新たな集客の目玉として期待しているためだが、周辺地域への影響など不安も残る。
枚方市で医療モールの建設ラッシュ
駅前再開発で商業施設に医療機関を集める医療モールが、地方都市で広がっている。新たな集客の目玉として期待しているためだが、周辺地域への影響など不安も残る。駅前から続く細い路地の両側に古いビルが立ち並ぶ。たこ焼き屋に並ぶ行列の向こう側に、古いビルの取り壊しが見える。大阪府枚方市北中振の京阪電鉄本線光善寺駅西口では、再開発で医療モールを併設した商業施設の建設が始まった。
再開発は地元の光善寺駅西地区市街地再開発組合が進めている。約1.4ha(1万4000平方メートル)の区域に地下1階、地上3階建て延べ約5400平方メートルの商業施設と、26階建てタワーマンションを建設する計画。商業施設は「ひらら光善寺」と命名され、3階に医療モールが入る。
市は広さ約2500平方メートルの交通広場と周辺街路を整備し、昭和の時代を思わせる古い街並みを駅前にふさわしい姿へ変える。商業施設は2023年度中、タワーマンションは2027年度以降に完成する予定。
医療モールの整備は、市が立地適正化計画に基づき、駅やバス停留所がある市内13区域に医療機関を誘導していることが背景にある。京阪本線の牧野駅、JR学研都市線の津田駅周辺などで多数が建設・計画されているほか、計画が動き出した京阪本線の枚方市駅前再開発でも予定され、市内は医療モールの開発ラッシュ状態だ。
市は人口約40万人。大阪市のベッドタウンとして子育て世帯が多く暮らすが、2040年に全人口に占める65歳以上の割合が
「40%」
を超すと推計されている。枚方市市街地開発課は「医療機関の誘導は将来の行政コスト削減や住民の利便性を高めることが目的。光善寺駅も拠点のひとつに位置づけている」と説明した。