宅配便の「再配達無料」はもう止めるべき? ドライバーにかかる大きな負担、海外ではありえない日本の“サービス過多”を疑え

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通販大手「フェリシモ」が行った調査結果で、回答者の約9割が「再配達」を問題視していることがわかった。このまま業界の待遇改善につなげられるか。

非効率を産む日本の商慣行

フェリシモが行った自社の会員に対して行った「再配達」に対する意識調査。有効回答数は1万6006件(画像:フェリシモ)
フェリシモが行った自社の会員に対して行った「再配達」に対する意識調査。有効回答数は1万6006件(画像:フェリシモ)

 このような物流会社同士の過当競争という要因に加えて、もうひとつ無料再配達等の過剰サービスを生じている重要な要因がある。すなわち、

「運賃込み価格」

という商慣行である。

 運賃・送料は配送先によって異なるため、本来は商品本体価格とはわけて請求するほうが望ましい。ところが日本の流通では、以前から運賃・料金込みで価格表示することが通例となっている。

 このような商慣行によって商品の買い手から見ると「運賃はタダ」という意識が生まれる。タダのサービスを効率化する必要がないため、過剰な物流サービスを要求しがちになる。これが、多頻度・小ロット輸送に代表されるような日本の物流の非効率を生じている最大の理由である。

 この問題構造は通販についても当てはまる。「運賃込み」や「送料無料」といった価格表示では、消費者の側に配達を効率化する動機付けが生じない。運賃の負担額をブラックボックス化してしまうことで、価格メカニズムが働かなくなり、過剰な物流サービスを生じてしまうのである。

 このような価格の不透明さは、消費者の利益にもつながらない。

「何度再配達しても不在」

といった好ましくない通販利用者のコストを負担しているのは誰か、というと、結局は再配達をせずに受け取っている、その他の優良な通販利用者だからである。

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