宅配便の「再配達無料」はもう止めるべき? ドライバーにかかる大きな負担、海外ではありえない日本の“サービス過多”を疑え
一般的ではない「再配達はタダ」
「再配達はタダ」という現状に疑問を感じる理由のひとつは、そのようなサービスが世界的に見て一般的ではないと思われるからだ。
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筆者(久保田精一、物流コンサルタント)はかつて、米国、英国、一部アセアン諸国での通販の配達実態について調べたことがあるが、おおむね次のようなパターンが主流であった。
1.戸建ての場合、在宅でもドア前に荷物を置いた時点で配達を完了する(置き配)
2.集合住宅の場合、郵便受けの近辺に荷物を置いた時点で配達完了
3.同じく集合住宅の場合、郵便受けに不在票を入れる。ユーザーは不在票を持って郵便局等に自分で取りに行く
4.初回は無料で配達するが、不在時にはユーザーは郵便局等に取りに行く。再配達は有料
なお米国のような広大な国では、都市部と農村部などで配達方法にかなり地域差がある。配達方法もケース・バイ・ケースの要素が強く、必ずしも無料での再配達が行われていないということではないが、筆者が調べた限りは主流でないことは明らかである。
このように、日本と海外で事情が異なる背景にあるのは日本の
「特殊な物流事情」
である。
日本では日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便といった宅配大手が激しい競争を繰り広げている。その影響で、郵便会社以外の純民間の宅配会社も全国共通での物流サービスを提供しているわけだが、これは世界的に見るとかなりレアケースである。
もちろん海外でも、純民間の宅配会社がCEP(クーリエ、エクスプレス、パーセル)と呼ばれる宅配便に類似したサービスを提供しているが、これらのサービス実態を詳しく確認すると、
・エリア
・サービス条件
を限定している場合が大半である。
簡単にいうと、民間企業は赤字にしかならない農村部等では限定したサービスしか展開しておらず、実質的に郵便会社しか利用できない地域が多いということである。そのため、過当サービス競争もおきない。