「年収さえ上げれば、トラックドライバーは増える」は間違い! 運送業界を停滞させる複合要因、求貨求車サービスの課題から考える

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「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスの解決手段として注目される求貨求車サービス。だが本当に求貨求車サービスは物流クライシスの救世主となりうるのだろうか。

もうからなくなったトラックビジネス

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

「貨物を運んでほしい荷主」と「貨物を求める運送会社」をマッチングする求貨求車サービスは、物流クライシスの救済策として注目を集めており、参入事業者も増えているが、課題も少なくない(前編「「ろくな運送案件がない」 物流“求貨求車サービス”が抱える大きな問題、運賃の地域格差も浮き彫りに 帰り荷少なきゃ赤字覚悟の現実だ」からの続き)。

 道路貨物輸送サービス価格は、2010年代後半にバブル期(1990年の規制緩和以前)の水準を超え、過去最高(物流コストインフレ)――これは、経済産業省の2021年3月発表資料にある一文である。

 資料では、この物流クライシスの原因として、以下三つを挙げている。

1.EC拡大による宅配便の急増
2.多品種・小ロット輸送の増加によるトラックの積載効率の低下
3.トラックドライバー不足(ドライバーの労働環境悪化と、少子高齢化による構造的な原因)

 トラック積載効率は1993(平成5)年に55%近くあったものの、2018年には40%を下回っていると、経済産業省は指摘している。

 輸送ビジネスは、基本的に

「より重たい貨物をより遠くまで運ぶ」

ほうがもうかる構造になっている。

 だからこそ、トラックの輸送リソース(≒最大積載量)の半分以下しか使えていない今のトラック輸送ビジネスは、かつてよりもうからなくなってしまっているのだ。

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