仙石線依存で失速した仙台市繁華街 昨秋スタートの「市内循環バス」は救世主となれるか? 栄える駅前とは真逆の現状を占う

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2022年秋、仙台市で市街地の回遊性を高めるための循環バス路線が新設された。市街地に新たな人の流れを創り出せるのか。

利便性の高い「支店経済都市」

仙台市内を走る循環バス「まちのり「チョコット」」(画像:写真AC)
仙台市内を走る循環バス「まちのり「チョコット」」(画像:写真AC)

 市街地に新たな人の流れを創り出せるのか――。2022年秋、仙台市で市街地の回遊性を高めるための新たなバス路線が新設された。地方都市では一部のエリアに客足が集中する「ひとり勝ち」現象が起こりがちだ。それを打開する策として、バスは有効なのだろうか。

 仙台市は元来、ひとり勝ちの街だった。政令指定都市として、東北地方のなかで、あるいは宮城県のなかで同市だけが栄える状況は長らく続いて来た。そんな大都会でありながら、繁華街は極めてコンパクトだ。

 筆者(碓井益男、地方専門ライター)はかつて、仙台市の東側にある多賀城市に住んでいたが、仙台市の利便性は全国屈指だと考えている。仙台駅を起点として、一番町や中央通り周辺に

・デパート
・商店街
・歓楽街

までもがそろっており、歩いても1時間程度の範囲だ。そのため、バスや地下鉄で移動することなく消費を楽しめる街だった。徒歩圏内にすべてが集中していることが最大の利点だった。

 ところが、震災復興以降、仙台市街地では大きな変化が起こった。この狭いエリアの中でも、仙台駅の周辺に人の流れが集中するという格差が生まれたのである。

 仙台市はもともと支店経済都市(全国規模で展開する企業の支社・支店などが集中する都市)として栄えていたが、2011(平成23)年の東日本大震災以降、復興の中心を担う都市として存在感を強めた。

 結果、県外からの復興需要をあてこんだ出店が相次いだ。さらに、県内の飲食店などでは復興需要をにらみ、市街地へ新たに出店する動きも見られた。そのなかでも中心地と目されたのが仙台駅前だったのだ。

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