「制服姿でサボるな」 休憩中の配達員にクレーム頻発、あり得ない不寛容さから見える没落日本のリアル
近年、制服を着た人間の行為に対してクレームを入れる人間が増えている。多くの配達員を抱える物流業界もその悩みにさらされている。
少なくなった制服の配達員
「会社にもよりますが、制服のときは気を使いましたね。帰りにスーパーに寄ったり、コンビニで昼食を買ったりするときはもちろんですが、喫煙ドライバーは人目のつかない場所で吸うのに苦労してましたよ」
大手宅配業者を経て、現在はフリーランスで主に通販サイトの配達を請け負うベテラン配達員が語る。多くの宅配業者が下請け業者に委託するようになり、制服の配達員は以前ほどは見かけなくなったように思う。
「昔は信用という部分で制服着用が普通でしたけど、みなさん昔に比べれば配達員が制服かどうかはそれほど気にしなくなりましたね」
なるほど、かつて多くの企業が制服、特に一般職の女性に制服を着せていたが、現在はそうした会社も少なくなった。もちろん航空会社や鉄道などは制服だが、宅配便に関しては他の物流ドライバー同様に制服でないケースも増えている。個人宅配事業者の私服配達など珍しくもなくなった。
「別に制服が嫌で前の会社(宅配業者)を辞めたわけではないですが、私服のほうが配達員にとっては気持ちが楽ですね」
制服の廃止はさまざまな理由があるが、古くは有名宅配便の制服を悪用した「なりすまし」による犯罪も多発したためという事情もある。
「個人的には制服でないほうがいいですね。制服を着ているから、着ていないからで仕事に対する姿勢を変えるわけではないですが、やはり先ほど言ったように、プライベートな時間は制服だと気を使いますから」