イラク戦争勝利のカギは「コンテナ」「電子タグ」 米軍ロジスティクスは湾岸戦争から劇的に進化していた!

キーワード :
, ,
1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争など、最前線の戦いの場面ばかりが話題になるが、実際は戦いの基盤となるロジスティクスが極めて大切であり、勝敗のカギを握っていた。そのロジスティクスの“進化”を含めて解説する。

戦争のプロはロジスティクスを語る

湾岸戦争「砂漠の嵐作戦」支援のため物資を輸送する軍用車両。1991年2月25日撮影(画像:AFP=時事)
湾岸戦争「砂漠の嵐作戦」支援のため物資を輸送する軍用車両。1991年2月25日撮影(画像:AFP=時事)

「戦争のプロはロジスティクスを語り、戦争の素人は戦略を語る」との格言がある。

 1991(平成3)年の湾岸戦争、さらには2003年のイラク戦争でもそうであったが、テレビなどメディアでは最前線の戦いの場面ばかりが話題にされ、アメリカ本土やヨーロッパなどから中東地域まで軍隊を移動させ、兵士に糧食や水を提供し、必要な武器および弾薬を運搬するという、戦いの基盤となるロジスティクスの側面はほとんど注目されなかった。

 だが、仮にロジスティクスが機能不全に陥れば、いかに世界最強のアメリカ軍や多国籍軍(有志連合軍)といえども、ほとんど戦えないのである。

 歴史を振り返ってみれば、戦いの場所や時期、規模を少なからず規定してきたのは、ロジスティクスの限界あるいは制約であったことが理解できる。湾岸戦争やイラク戦争で、とりわけアメリカ軍はいとも簡単に最前線まで兵士や物資を移送させたように見えるが、それが可能であったのは、同国軍が中東地域へと至るロジスティクスの線(ライン)、例えばシーレーンなどを確保し、それを維持し得たからである。

全てのコメントを見る