イラク戦争勝利のカギは「コンテナ」「電子タグ」 米軍ロジスティクスは湾岸戦争から劇的に進化していた!

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1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争など、最前線の戦いの場面ばかりが話題になるが、実際は戦いの基盤となるロジスティクスが極めて大切であり、勝敗のカギを握っていた。そのロジスティクスの“進化”を含めて解説する。

情報ネットワーク活用したイラク戦争

人工衛星のイメージ(画像:写真AC)
人工衛星のイメージ(画像:写真AC)

 湾岸戦争から10年余り経過したイラク戦争では、軍事ロジスティクスの部外委託(アウトソーシング)が大きく進んだとされる。その理由のひとつは、大量の物資、とりわけ現地では調達できないハイテク装備品などを、遠く海外へと移送するノウハウに関して、民間企業の方が優れていたからである。

 湾岸戦争でアメリカ軍は、約2カ月間継続して戦えるための物資を事前に準備したが、イラク戦争では約1週間分の備蓄で攻撃を始めたとされる。そして、こうした状況を可能としたのが、人工衛星を用いた通信ネットワークの発展であった。最前線の部隊とロジスティクス担当の部隊が衛星で結ばれれば、どの部隊がいかなる物資を必要としているかを容易に把握できるからである。

 実際、湾岸戦争では多国籍軍にせよイラク軍にせよ、基本的には従来のロジスティクス方式(ジャストインケース)のままであり、開戦に先立って後方に膨大な補給物資を集積(そのために多国籍軍は約6カ月を必要とした)、戦闘部隊の進撃は補給が追い付く距離までが限界で、そこに到達すると戦闘部隊はいったん停止し、前線に近い新たな後方に補給物資の集積場所を移動させ、移動が終わると次の作戦を実施するとの伝統的な方策に従ったのである(『軍事とロジスティクス』)。

 だが戦闘部隊とロジスティクス担当部隊との間が情報ネットワークで結ばれれば、戦闘部隊からの補給要求が瞬時にネットワークでロジスティクス担当部隊に伝えられ、ロジスティクス担当部隊からは、いつ補給物資を届けられるかとの情報提供が可能になる。

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