イラク戦争勝利のカギは「コンテナ」「電子タグ」 米軍ロジスティクスは湾岸戦争から劇的に進化していた!
「軍事ロジスティクスにおける革命」の声も

そして、1990年代のIT革命は軍事ロジスティクスに大きな変化をもたらし、とりわけRFIDの導入は、補給物資の流れをリアルタイムで把握する「トータル・アセッツ・ヴィジビリティ」を可能にした(『軍事とロジスティクス』)。
実際、前述の『軍事とロジスティクス』によれば、イラク戦争ではそれぞれのコンテナに内容物、発送地、目的地などの情報を発信するRFIDが付けられ、外部から内容物や目的地を迅速に確認できるようになった。これをもって「軍事ロジスティクスにおける革命」とする論者さえ存在する。
さらに『軍事とロジスティクス』によると、湾岸戦争でアメリカ軍は60日分の物資を備蓄して戦闘を開始した一方、イラク戦争では必要なものを必要な時に届ける「ジャストインタイム」の導入の結果、わずか5~7日分の水、糧食、弾薬を携行するだけで戦闘を開始したという。
もちろん、これには情報ネットワークを用いたロジスティクス・システムの導入に加えて、民間企業の調達・発注・発送・輸送方式の採用、さらには、高速かつ車両を自走で搭載でき、自ら荷下ろしが可能なクレーンを装備した新たな大型輸送艦の実用化、などの要因も重要であった。
また、イラク戦争前のイギリス軍は、いわゆる「緊急作戦要求(UOR)」を採用したとされる(『軍事とロジスティクス』)。これは、「あらゆる予想される非常事態に、あらゆる作戦状況下で対応できるように装備を調達し、維持しておくのは非効率的であり、また現実に不可能である」との理由によるものであるが、その代替策として、緊急事態が生じた場合は必要とされる物資などを民間から緊急に調達するUOR方式が導入された。そして、このUORは実戦で一定の成果を上げたと評価されている。
おわりに
前述のパゴニスは軍事ロジスティクスにおける、(1)重複性(2)余裕(3)無駄――の必要性を繰り返し強調している(『山・動く』)が、いつの時代にも、戦争におけるロジスティクスの重要性は変わらないのである。