イラク戦争勝利のカギは「コンテナ」「電子タグ」 米軍ロジスティクスは湾岸戦争から劇的に進化していた!

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1991年の湾岸戦争や2003年のイラク戦争など、最前線の戦いの場面ばかりが話題になるが、実際は戦いの基盤となるロジスティクスが極めて大切であり、勝敗のカギを握っていた。そのロジスティクスの“進化”を含めて解説する。

「ジャストインケース」から「ジャストインタイム」へ

RORO船のイメージ(画像:写真AC)
RORO船のイメージ(画像:写真AC)

 ビジネスの世界で「ジャストインタイム」という発想が採用されてから久しいが、その核心は「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」であり、これは今日の軍事ロジスティクスの領域にも広く導入されている。

 冷戦から湾岸戦争にかけての時期は「ジャストインケース」といった発想でロジスティクスが運用された結果、その副産物として大量の物資を集積する「アイアン・マウンテン」が随所で構築された(詳しくは、江畑謙介著『軍事とロジスティクス』日経BP社)。

 だがその後、最前線とロジスティクス担当の部隊が通信ネットワークで結ばれ、さらには「RFID」という電子タグが導入された結果、物資の流れをリアルタイムで把握することが可能になった。

 なお、イラク戦争に先立って開始されたアフガニスタン戦争(2001年~2021年)では、最前線に移送した物資のうち70~80%が燃料および水であり、その水の75%が兵士のシャワー用であったとされるが、これは、アメリカ軍だけに許された「特権」である。同国軍の優れたロジスティクス能力の証左であるが、これは「水を制した」古代ローマ帝国(軍)をほうふつとさせる。

 また、民間企業も軍隊も「ジャストインタイム」の発想は同じであるものの、仮に相違があるとすれば、軍隊には戦時あるいは緊急時の物資不足など絶対に許されないため、多少の備蓄が必要とされ、許されるとの点であろう。その象徴的な事例が、いわゆる「RORO船」に代表されるMPS(海上事前集積部隊)である。

 実際、前述のパゴニスは、海上事前集積(備蓄)船の重要性を指摘する。すなわち、「サウジアラビアの社会基盤を『攻略して』いる間、われわれは配備船で輸送された装備と補給品に頼っていた。既に述べていたように、サウジアラビアでの最初の数週間は、配備船のおかげで生き残れたのであり、将来のいかなる原則もこの明白な事実を考慮にいれなければならない」(『山・動く』)。

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