東京メトロの技術はなぜ常に最先端なのか? 地下鉄開業95周年を機に考える
2022年12月30日、開業95周年となる東京メトロの歴史を振り返る。
鉄道友の会ローレル賞の17000系と18000系
全国規模の鉄道愛好者団体「鉄道友の会」は毎年5月下旬、前年デビュー(営業運転開始)の車両を対象に、会員の最多得票数で決まるブルーリボン賞(最優秀車両)、選考委員により技術的に優れた車両を選定するローレル賞(優秀車両)を発表している。プロ野球に例えるなら、前者は新人王、後者は新人特別賞といったところだ。
2022年のローレル賞は、東京メトロの有楽町線および副都心線用17000系と半蔵門線用18000系などが受賞した。東京メトロでは1972年に千代田線用の6000系、1985年に銀座線用の01系、2011年に千代田線用の16000系がローレル賞、2013年に銀座線用の1000系がブルーリボン賞に輝いている。
17000系と18000系は、ほぼ同じ時期に設計したことから、車体構造や搭載機器など、基本仕様の共通化を図ることで、メンテナンスの負担を低減させた。東京メトロは2004年4月1日の営団地下鉄からの移行後、一部の車型を除き、1つの車型につき1つの車両メーカーに一括発注している。17000系の10両車と18000系は日立製作所、17000系の8両車は近畿車両が新製した。東京メトロ車両部設計課の栗原純課長によると、同一の車両メーカーに発注することで、同じ部品が使えることから、コストやメンテナンスの低減につながるという。
また、ホームと車両の間の段差低減、フリースペース近傍の乗降用ドアに切り込みを入れて、車椅子やベビーカーが通行しやすいようにしており、交通弱者に対する思いやりも見られる。
今回は、こうした時代に即した、あるいは時代を先取りする東京メトロの取り組みの歴史を振り返ってみよう。