東京メトロの技術はなぜ常に最先端なのか? 地下鉄開業95周年を機に考える
開業当初から技術力高く

2022年12月30日、銀座線上野~浅草間が開業して95周年を迎えた。日本に地下鉄を初めて導入した東京地下鉄道(銀座線ならびに、後述の営団地下鉄の前身)の早川徳次は、防災や安全対策に万全を期した1000形を世に送り出す。鋼製車体、乗降用ドアの自動化、自動列車停止装置(ATS、Automatic Train Stop device)の採用という、当時としては画期的なものだった。
技術力の高さは1941年設立の営団地下鉄(東京メトロの前身)に受け継がれてゆく。
1961年3月28日に開業した日比谷線は、3つの「日本初」を導入した画期的な路線だ。
1つ目は「剛体架線」。パンタグラフを最大限まで上げることなく集電することで、地下トンネルの断面積を可能な限り抑えたほか、断線事故を防ぐメリットもある。
2つ目はATSに代わる保安装置として、自動列車制御装置(ATC、Automatic Train Control device)を導入したこと。当初は線路脇に信号機を設けており、信号が示した制限速度をオーバーすると自動的にブレーキがかかる仕組みだった。
1964年10月1日に国鉄(当時)の東海道新幹線が開業すると、運転席に信号機を設けた車内信号式を採用。制限速度が具体的に表示され、保安度が大幅に向上した。営団地下鉄は車内信号式ATCを在来線用にカスタマイズしたものを、1969年12月20日開業の千代田線から使い始めた。現在、東京メトロ全路線で、このタイプを改良したATCが使われている。
3つ目は自動列車運転装置(ATO、Automatic Train Operation device)で、日比谷線第1世代車両3000系の一部編成に設けられた。第2世代車両03系には導入されなかったが、現在の第3世代車両13000系では全44編成に整備された。
なお、東京メトロでは全駅のホームドア設置と並行して、全路線のATO化を進めている。