東京メトロの技術はなぜ常に最先端なのか? 地下鉄開業95周年を機に考える

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2022年12月30日、開業95周年となる東京メトロの歴史を振り返る。

鉄道車両も省エネの時代へ

地下鉄の新たな時代を築いた6000系と7000系(画像:岸田法眼)
地下鉄の新たな時代を築いた6000系と7000系(画像:岸田法眼)

 車両で飛躍が見られたのは、1968年に登場した6000系だ。軽量化に優れたアルミ車体を本格採用したほか、世界初の電機子チョッパ制御を採用し、消費電力や排熱の低減に成功した。省エネ車両の第1号として名をとどろかせ、日本の鉄道に新風を吹かせた。

 つり手も円形から三角形に変わり、握りやすくなった。当初は営団地下鉄の専売特許的な感があったが、1990年代に入ると首都圏の各鉄道事業者に波及した。

 省エネにサービスアップを加えたのは、1983年に登場した01系だ。乗降用ドアの開閉時にドアチャイムが鳴動、その上には旅客情報案内装置を設け、当該の駅に到着するとランプが赤くともり、次の駅だと緑の矢印が点滅する。現在では発光ダイオード(LED)や液晶ディスプレー(LCD)に進化し、情報量を多く表示できる。

 1993年に保安装置をATCに切り替えると同時に、定位置停止支援装置(TASC、Train Automatic Stopping Controller)の使用を開始。停車駅が近づくと自動でブレーキがかかり、停止位置にきっちり停車するものだ。銀座線の駅の多くはホーム有効長が6両分ギリギリで余裕がないため、運転士を補助する。ただし、TASC作動時に停止信号で止まってしまうと、運転士の手によりブレーキ操作を行う。

 近年はホームドアの設置に伴い、TASCを導入する鉄道事業者も増えている。

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