「道路 = 車が主役」はもう古い? 歩行者中心、開始2年の「ほこみち制度」は新たな社会を生み出せるか
現在全国80か所以上

国土交通省によると、2021年2月に大阪の御堂筋など3路線が第1号に指定され、2022年8月時点で
「82路線」
が、ほこみちに指定されている。また、ほこみちの拡大や可能性について議論を行う「ほこみち活用全国会議」や、人が主役の魅力ある空間づくりに向けて「ほこみち インスパイア フォーラム 2022」といったイベントを開催してさらなる普及を目指してきた。
ところで、ほこみちに指定されるとどのような具体的なメリットがあるのだろうか。
従来であれば、例えば飲食店がテラス席を道路上に設けたい場合、その場所に置くしか方法がなく、やむを得ない場合のみしか占用が認められなかった。しかし、ほこみちに指定されると、占用特例が認められるため、テラス席やベンチが置きやすくなる。設置可能なものは、
・広告塔
・看板
・幕
・アーチ
・食事施設
・購買施設
・露店
など意外と幅広く、アイデア次第でにぎわいを創出できるようになっている。
また、複数の事業者が占用を応募した場合、道路を活用する占用者を公募により選定可能となるとともに、従来は5年だった占用期間が最長20年となり、さらには占有料も1/10に減額され、事業者も長期視点に立った空間づくりが可能となる。
阪急三宮駅の北側にある市道若菜神戸駅線(通称:サンキタ通り)のほこみちは、神戸市が策定した「えきまち空間」の基本構想に基づいた街づくりの一環として実施されている。三宮エリアはJRや阪急、神戸市営地下鉄など六つの駅が集中しており、この六つの駅があたかもひとつの大きな駅となるような空間や、より便利で回遊性を高める空間づくりなどを目標としている。具体的には、道路の構造に手を加えて歩道と車道の境をフラットにして歩きやすくして、飲食スペースとしてテラス席を設置している。
コロナ禍による特例も

新型コロナウイルス感染拡大の初期の頃、感染防止対策として歩道にテーブルを設置して飲食をする光景があちこちで見受けられたが、実はほこみち制度を応用した特例措置だった。
国土交通省は、2020年6月5日から直轄国道についてコロナ占用特例を設けて、占用許可基準を緩和するとともに、地方公共団体に対しても同様の措置の実施検討を依頼する文書を発出した。その結果、2021年7月時点で全国約170の自治体で適用され、占用許可件数は全国で
「約420件」
にのぼった。
占用期間はコロナ特例期間中(2023年3月31日まで)のみだが、施設付近の清掃等に協力することを前提に占用料が免除されている。