「道路 = 車が主役」はもう古い? 歩行者中心、開始2年の「ほこみち制度」は新たな社会を生み出せるか
「地域を豊かにする歩行者中心の道路空間の構築」を目標として、2020年11月から施行されている制度「ほこみち」。その可能性について探る。
「ほこみち」とは何か

2020年に道路法等の一部が改正され、同年11月、利用者利便増進道路(通称:ほこみち)制度が施行された。ほこみちは、歩行者が主役となる道路空間をクリエーティブに活用する新たな制度で、2022年11月で丸2年を迎えた。そこで、ほこみち制度のおさらいを行うとともに、この2年間の成果について紹介する。
ほこみち制度は、
「地域を豊かにする歩行者中心の道路空間の構築」
を目標としている点で、従来の道路行政と一線を画している。以前は、地域がにぎわいを創出したいと望みながらも、以下のような点で法令等の整備が十分でなかった。
・道路法令上「にぎわいを目的とした空間」の位置付けがなく、関係機関による調整協議を難しくしている
・道路空間再構築の整備に関する規定が十分でないため、警察などとの協議において根拠を示せなかった
・多様なアクティビティ創出に必要な幅員に関する技術的根拠が乏しかった
ほこみち制度により、にぎわいを目的とした空間づくりに向けた法的および技術的な根拠が示されたため、クリエーティブな道路空間が全国各地へと広がることとなった。
ちなみに従来からある歩行者天国は、道路管理者による道路占有許可および所轄警察署による道路使用許可を得て、一定の期間歩行者専用道路とするのに対し、ほこみちは指定を受けることで、道路そものもが歩行者が安心・快適に通行・滞留できる空間となる。