全国で相次ぐ「橋の通行止め」 財政難の自治体もはや維持できず、今こそ取捨選択費用の公開を
各地で通行規制の橋が続々と

全国で通行止めになる老朽橋が相次いでいる。高度経済成長期に架けられた橋が一斉に耐用年数を迎えているためで、財政難の地方自治体は対応に苦慮している。
のどかな住宅街に架かる小さな橋の両側に車止めの赤いポールが2本ずつ立てられている。もともと白く塗られていたと思われる鉄製の欄干は、さびついて全体が赤茶色に。香川県の西端に位置する観音寺市豊浜町の亀錦橋は、2021年から車両通行止めが続いている。
亀錦橋は橋長11.7m、幅員3m。建設年度不明の古い橋で、白坂川に架かる市道姫浜上松線の橋として長く地域住民の生活道路になってきた。しかし、2021年度の点検で床板や下部構造に鉄筋の露出や腐食が見つかり、車両の通行が危険と判定された。
近くを国道11号が通るうえ、白坂川には複数の橋が架けられている。このため、撤去となってもおかしくない状態なのだが、地元住民からするとJR豊浜駅方面へ向かう近道になる。住民から存続要望が出て、橋をどうするのかに関する市と住民の協議が続いている。
観音寺市建設課は、
「市の財政を考えると老朽化したすべての橋を架け替えるわけにいかないが、住民には橋に対する愛着があるのだろう。結論が出るまでにもう少し時間がかかるかもしれない」
と頭を痛めている口ぶりだ。
結論を出さない地元行政

人口減少による税収の減少と高齢化社会の進行による福祉予算の増大で厳しさを増す一方の地方財政に、新たな難題が持ち上がっている。橋の老朽化が相次ぎ、早急に手を打たなければならない場所が増えていることだ。
老朽化した橋の通行規制は、地方の中核となる県庁所在地にも及んでいる。徳島県徳島市庄町で田宮川に架かる庄東橋は、2019年度から車両通行止めとなったまま。現地はJR徳島駅から2駅離れているものの、近くに徳島大学病院や徳島県立中央病院がある街中だ。
庄東橋は1965(昭和40)年の建設で、市道庄・中島田東線が通る。橋長10.8m、幅員3.1m。主桁の腐食や鉄筋の露出、破断が見つかり、応急措置を施して二輪車と自転車、歩行者のみの通行に規制している。
う回路はあるものの、地元住民は架け替えを要望している。徳島市道路建設課は
「地元と調整中で、架け替えるかどうかについて結論が出ていない」
という。