タクシー運転手の「飲酒運転」は撲滅されたのか? 予期せず検知器が鳴ってしまった、下戸ドライバーの悲劇とは

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タクシー業界の内情を知る現役ドライバーが、業界の課題や展望を赤裸々に語る。今回は、運転手の「飲酒」について。

タクシー運転手に酒好きは多いのか?

街を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)
街を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)

 東京都内では約4万7000台のタクシーが、都心から下町、住宅街まで、まさに迷路のような道を日夜走り回っている。ここでは現役タクシー運転手の筆者が見てきた現場でのエピソードを紹介しつつ、タクシー業界が抱える課題を取り上げてみたい。

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 タクシー運転手には酒好きな人が多いとよく言われる。

 仕事柄、乗客とのトラブルとか交通事故リスクなど、長時間乗務の中で過大なストレスが溜まるせいかもしれない。

 とはいえ乗務時間中やその直前に飲酒をする運転手など、まず皆無だと考えるのが本来だ。コンプライアンスが徹底された現代であれば、なおさらである。客を乗せハンドルを握る職務において、これ以上の“背任行為”は他にない。

 2022年10月、広島市内で酒気帯び運転の疑いでタクシー運転手が現行犯逮捕されたという事件報道をヤフーニュースで見た。信号待ちをしていた軽乗用車に追突したという。

 発生当時の第一報によれば、70代のタクシー運転手の呼気からはアルコール0.6mg/Lが検出されたとのこと。「お酒が体から抜けていると思い、運転した」と供述しているそうだが、基準の4倍の値となれば、十分な時間を置かず運転席に乗り込んだものと推測するのが自然ではないだろうか。

 発生時刻は、平日の朝6時半頃だったらしい。

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