「貸し切りバス」終わらないコロナ禍で瀕死状態! 路線バスはかつてご法度「カルテル」頼みの現実とは

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コロナ禍の影響で、鉄道だけでなく、バス会社の苦境も続いている。特に「高速バス」「貸し切りバス」業界は崖っぷちの状態だ。打開策はあるのか。

路線バスより厳しい「高速バス」「貸し切りバス」

貸し切りバスのイメージ(画像:写真AC)
貸し切りバスのイメージ(画像:写真AC)

 JR赤字ローカル線の再編を巡って、バス転換の議論がたびたび話題になっている。しかし残念ながら、鉄道からバスに転換したところで肝心の乗客が増えるわけではない。国や自治体の出資する補助金が鉄道より安価で済むのが関の山だろう。鉄道だけでなく、バス会社の苦境も続いている。2022年3月に国土交通省が開催した「アフターコロナに向けた地域交通の「リ・デザイン」有識者検討会」第1回会合で示された資料を読めば、その現状は明らかだ。

 路線バスの輸送人員は、21世紀に入ってから約3割減少している。2000(平成12)年を100とすると、2019年の数値はなんと

「75」

なのだ。

 一般路線バスを運営し、保有車両30台以上の業者のうち、74%が一般路線バス事業で赤字となっている。地方のみならず、三大都市圏でも18%の事業者は赤字運行になっている厳しい状況である。

 こうした厳しい状況に追い打ちをかけているのが、コロナ禍での輸送人員の減少だ。路線バスはコロナ禍当初の2020年5月に50%まで減少(2019年同月比)。その後、回復基調は見られたものの、2022年3月時点でも28.3%減少(同)となった。

 一般路線バスより厳しいのが、

・高速バス
・貸し切りバス

だ。

 高速バスの輸送人員は、2020年5月には85.5%減。2022年3月でも65.2%減とまったく回復していない。中央高速バスの新宿~甲府線はかつて30分間隔のドル箱路線だったが、コロナ禍以降、1日27便のうち9本を運休している。2022年4月から一部の便再開に踏み切ったが、7便は運休のままだ。

 貸し切りバスは観光需要が見込めず、厳しい状況にある。貸し切りバスの経営状況を示す実働率(1年間におけるバス車両の稼働率であり)は、2019年3月に41.7%だったが、2022年3月は24.8%に減少している。貸し切りバス事業は免許制から許可制へ、2000年代に入り規制緩和が実施されたことで新規参入する事業者が増加。政府の観光振興策により、2018年には全国で4127社と、2000年時点から約2倍まで増加していた。

 訪日外国人の増加は、事業者を上回る勢いで伸びており、新車で1台3000万円以上する標準的な大型バスは納車まで3年待ち。10年落ちの中古車でも1500万円程度で取引されていた。

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