インドネシアでひそかに動く鉄道プロジェクト「スラウェシ島鉄道」 10月開業絶望的も、秘めたるポテンシャルはいかほどか

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インドネシアのジョコウィ政権下でひそかに動く、巨大鉄道プロジェクト「スラウェシ島鉄道」をご存じか。

大規模プロジェクトの完成間近

スラウェシ横断鉄道システムの一部として、マカッサルからパレパレまで新たに建設された16.1kmの線路を視察するジョコ・ウィドド大統領(左から2番目)。2015年11月撮影(画像:AFP=時事)
スラウェシ横断鉄道システムの一部として、マカッサルからパレパレまで新たに建設された16.1kmの線路を視察するジョコ・ウィドド大統領(左から2番目)。2015年11月撮影(画像:AFP=時事)

 大型インフラ投資を立て続けに行ってきたインドネシア、ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領は、2024年に任期満了を迎える。二期10年続いたジョコウィ政権にピリオドが打たれるわけだが、それを前にして、向こう2年間、大規模プロジェクトの完成ラッシュが続く見込みだ。

 ジョコウィ大統領就任以来、高速道路や空港が続々開業し、特に高速道路に至っては、ジャワ島内外合わせて約4700km(一部建設中の区間含む)が完成した。

 鉄道も例外ではない。主要幹線の複線化、軌道改良がおおむね改良し、大幅な所要時間の短縮を実現した。また、空港鉄道やジャカルタMRTを筆頭とする都市鉄道の整備も着々と進んだ。同時に、かつては一種のタブーとされていた外資規制の緩和が続けられており、海外からの投資額は2倍弱に伸びた。そのような大統領の姿勢は、「中国共産党からの差し金なのではないか?」と、インドネシア国内からもやゆされ、当初は政権への攻撃材料にもなってきた。

 建国五原則(パンチャシラ)に基づき、無神論と結びつく共産主義は非合法とされている(パンチャシラでは、唯一神への信仰が義務付けられている)。そのため、東南アジアの国々の中で、インドネシアは中国の影響が少ない国であった。

 しかし、この間に中国からの投資が爆発的に増加し、投資額トップの常連であるシンガポールに次ぐ2位の座に上り詰め、ジャカルタ~バンドン高速鉄道プロジェクトにおいて、日本案を蹴って中国案での建設を決定したことで

「親中派」

という印象が強くなった。

 もっとも、いまだにそんな印象に根を持っているのは一部の日本人くらいかもしれない。大半のインドネシア人からすれば、投資してくれるなら別に相手は選ばないと言ったところである。ジョコウィ大統領もそのひとりだろう。ともあれ、その高速鉄道も2024年までには開業する予定だ。

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