新潟のローカル線、特急廃止で「営業収益9割減」……内部留保80億円で挑む投資戦略とは
北越急行は、特急「はくたか」廃止で営業収益の約9割を失い、現在約80億円の内部留保を切り崩して経営を維持する。鉄道事業の赤字を補う投資事業は年間数千万円規模にとどまり、持続可能性の正念場を迎えている。
特急はくたかドル箱消失による投資事業参入

1997(平成9)年に開業した北越急行は、六日町~犀潟(さいがた)間59.5kmを結ぶ第三セクター鉄道である。もともと旧国鉄が首都圏と北陸地方を結ぶ“ショートカット新線”として計画した路線である。国鉄改革により工事は中断したが、新潟県を筆頭株主とする第三セクターが事業を引き継ぎ、開業に至った。
高速運転が可能な高規格在来線として設計され、直線的な路線のため全体の7割がトンネルで占められている。開業から2015年までは、上越新幹線の越後湯沢駅と金沢方面を結ぶ特急「はくたか」が運行され、第三セクター鉄道としてはトップクラスの収益を上げていた。
しかし、2015年に北陸新幹線の長野~金沢間が延伸開業すると、はくたかは廃止され、営業収益の約9割を失い赤字に転落した。もっとも、この損失は予測済みで、北越急行ははくたかで稼いだ資金を内部留保として蓄えていた。
現在、北越急行はピーク時に130億円に達したとされる内部留保を切り崩して経営を維持している。この間、
・佐川急便との貨客混載
・芸術祭列車の運行
など、さまざまな営業努力で増収を図ってきた。しかし、はくたかの廃止による売上減には遠く及んでいない。
一方で、北越急行は2014年に金融庁へ適格機関投資家の届け出を行い、内部留保を運用する形で投資事業に乗り出している。投資事業も一定の収益を上げているが、鉄道事業の赤字を補うには至らない。このまま赤字が続けば、潤沢だった内部留保もいずれ尽きる。
北越急行は本業の鉄道事業と、補助的な投資事業で果たして持続可能なのか。経営の正念場は続いている。