SNSで17万いいね「救急隊に食事の時間を!」 大反響の裏にある、隊員たちの過酷過ぎる労働実態
2022年7月、さいたま市消防局のツイッターへの投稿が大きな反響を呼んだ。「救急隊に食事の時間を!」。その訴えの裏にある、現場隊員たちの過酷な労働実態とは――?
アイスの購入は私的な買い物か

これは2020年12月、救急搬送後に消防署に戻る途中、アイスクリーム店で救急車を止めてアイスを購入していたところ、通行人から「なぜ救急車を止めてアイスを買っているのか」と、とがめられサイレンを鳴らし立ち去ったというもの。
処分の理由は消防局が、熱中症対策や体力維持を目的とした水などの購入は認めているが、アイスは私的な買い物に当たると判断したためだ。
むしろ、忙しい合間にアイスでも食べてリフレッシュし、次の救急搬送に備えてくれるなら、そちらの方が安心できると思うのだが、そうはいかないのが現実だ。
アイスのみならず救急搬送の後に病院の売店で弁当を買っただけでも苦情の電話がかかってくることもあるという。
救急隊員が勤務中に十分な食事休憩も取れないのは、コロナ禍で始まった問題ではない。
2017年に総務省消防庁の行った「救急業務のあり方に関する検討会」では、救急隊員の労務管理が議題のひとつに挙げられている。
ここでは、全国160消防本部に対して「救急隊が救急活動等で、正規の時間に食事時間が確保できているか」の調査結果が報告されており、昼食・夕食ともに6割の消防本部では正規の時間帯に食事を取ることができていないとされている。
多くの消防本部では昼食は夕食近く、夕食はより遅い時間にずれ込み、不規則で十分な時間も確保できていないというのだ。
平時でこうなのだから、現在の過酷な勤務状況はおのずと想像できる。