日本とかなり違う「国鉄民営化」 ヨーロッパの“誰でも参入できる”鉄道改革ってどんなもの?
日本でJRが誕生したのは1987年。ちょうど同じ頃、ヨーロッパ各国でも国鉄の民営化が進められていた。EUの意向で導入された「上下分離方式」また「オープンアクセス」とはどのようなものなのか。
EUが目指した「オープンアクセス」とは

1987(昭和62)年、日本では国鉄が分割民営化してJRが誕生。旅客会社は地域ごとに6社へ分割され、以来それぞれの地域に根差して運営を続けている。
ちょうど同じ頃、ヨーロッパ各国でも国鉄の民営化が進められていたが、EUからの指令により、日本のような地域ごとの分割ではなく、線路や駅といった地上のインフラ設備部分と、その上を走る列車に分割する「上下分離方式」による民営化を推進していた。
EUの最終的な目標は、その先に「オープンアクセス」を導入するところにあったからだ。
オープンアクセスとは、列車の運行とインフラを分けて、インフラ部分を別の会社が持つことで、そこへ線路使用料を支払えば誰でも自由に鉄道市場へ参入できるようにしたものだ。
つまり線路使用料(高速道路の通行料のようなもの)を支払えば、旧国鉄系の鉄道会社だけではなく、民間企業や他国の鉄道会社が旧国鉄の線路を使って運行することができるようになるというものだ。
EUとしては、民間企業の参入によって競争が生じ、価格やサービス面で市場が活性化されるだろう、というシナリオがあった。