日本とかなり違う「国鉄民営化」 ヨーロッパの“誰でも参入できる”鉄道改革ってどんなもの?

キーワード :
, , , , , , ,
日本でJRが誕生したのは1987年。ちょうど同じ頃、ヨーロッパ各国でも国鉄の民営化が進められていた。EUの意向で導入された「上下分離方式」また「オープンアクセス」とはどのようなものなのか。

ひとつの線路を複数の鉄道会社で共有

 日本を例にして強引に当てはめてみると、例えば品川 ― 横浜間にはJRと京急が走っており、それぞれ線路を保有していて、自社の線路を使って列車を運行している。

 これをヨーロッパ式に考えると、京急は線路を持たず、東海道線や横須賀線の線路を使って運転をする、ということになる。

 さらに言えば、その京急が新幹線の線路を使って新大阪まで乗り入れ、逆に関西地方からは阪急や京阪が同じ線路を使って東京まで乗り入れて来ている、ということもあるわけだ。

 もちろん、同じ区間でも各社別々の運賃体系になっており、したがって乗車券は基本的に各鉄道会社の窓口もしくはウェブサイトで購入しなければならず、他社のチケットを持っていても列車には乗れない。

 ヨーロッパでは、日本のような距離に応じた運賃表があるわけではなく、各社が区間や距離に応じて設定した自社タリフ(値段表)を作成しており、しかも価格は混雑具合や曜日、季節に応じて常に変動している。

 各社は、他社や他の競合交通機関の様子を探りながら、運賃の設定を行っているのだ。

 しかしこのオープンアクセス、出だしは順調だったかと言えばそういうわけでもない。

 上下分離による民営化が完了し、広く門戸を開いたはずでも、実際にはそういうわけでもなく、当初は他社参入への障壁やトラブルも多かった。

全てのコメントを見る