高すぎる「中韓の壁」越えられる? 日本最大級の「蓄電池工場」が岡山県南端に建設されるワケ
中韓に占められたリチウムイオン電池シェア

パワーエックスが大型の蓄電池工場の新設を行う背景として、世界的に脱炭素化の流れにあり、再生可能エネルギーを活用した電化社会を実現するには、コストパフォーマンスに優れた蓄電池の供給が求められていることがあげられる。
経済産業省は蓄電池について、2050年カーボンニュートラル実現のカギであり、自動車を含むモビリティの電動化を実現する最重要技術として位置づけている。世界的に見ても蓄電池市場は2030年には40兆円、2050年には100兆円の規模に達すると見込まれる成長産業だ。
特に太陽光や風力といった再生可能エネルギーを主力電源にするためには、電力の需給調整に蓄電池を配置する必要がある。さらに5G通信基地局やデータセンターなどの重要施設のバックアップ電源やIT機器にも用いられ、デジタル社会の基盤を支えるために不可欠な製品となっている。
しかし、エネルギー密度が高いリチウムイオン電池の世界シェアは中国と韓国が大きなシェアを誇っている。日本勢は2020年実績で
・車載用:21%(中国37%、韓国36%)
・定置用:5%(中国17%、韓国38%)
と引き離されている上、中国勢が品質面でも存在感が大きくなっている。
このため、日本政府は蓄電池の国内製造能力を2030年時点で150GWh規模まで拡大することを掲げており、生産拠点の整備を行う企業の支援を検討している。
パワーエックスは、蓄電池需要の中でもEV向け充電ネットワークの整備に着目。通常の商用電力に接続ができ、電気契約の変更や工事が不要なEV用急速充電器を大量生産し、マンション、商業施設、ホテル、駐車場などに設置することで蓄電池の普及を一気に行うことを計画している。
また「Power Base」が玉野市の宇野港周辺に建設された場合、今治造船など瀬戸内海地域に拠点を置く造船所との連携も考えられる。