二種免許の受験資格緩和も ドライバー不足は結局解消しそうにない2つの悲しい現実
道交法の改正で、第二種運転免許の受験資格要件が21歳から19歳に引き下げられた。果たして、若者たちはバス・タクシー業界へ積極的に就職することになるだろうか。
バス・タクシー運転手は慢性的採用難
コロナ禍で経済環境が厳しくなり、観光や飲食など、なかには存続に関わるほど大きなダメージを受けた産業もあった。しかしながら、それらの産業では求人が激減したものの、産業全体を見渡すと求人は一定以上の水準を維持している。
厚生労働省が公表している一般職業紹介状況によると、コロナ禍前に1.6前後あった有効求人倍率は見る見る下降し、2020年9月には1.04となった。しかしそこから再び上昇し、2022年4月時点で1.23。有効求人倍率とは、求職者ひとり当たりの求人数を表す指標だ。それが1倍を下回ることがなかったということは、コロナ禍の一番厳しい時期でも、求人の数は常に求職者の数より多かったことになる。
つまり業種や職種で差はあるものの、日本は総じて人手不足傾向であり、会社側から見ると採用難の状況だといえる。なかでも、医師や看護師、介護、建設・土木技術者などは有効求人倍率が2倍を超える慢性的採用難職種となっている。
バス・タクシー運転手もそんな慢性的採用難職種のひとつだが、このほど道路交通法が改正され、人手不足対策として期待されているという。バス・タクシーの運転手になるには第二種運転免許が必要だが、受験資格要件が法改正によって21歳から19歳に引き下げられたというのがそれだ。
国土交通省の報道発表によると、この法改正は運転者の不足や高齢化が進むタクシー業界およびバス業界からの要望を受けて実施され、2022年5月13日に施行された。新聞などの報道でも、法改正によって多くの若手層が運転手の職に就くことを期待する、といった関係者の声が伝えられている。
しかし、現実を見る限りこの法改正がバス・タクシー業界の人手不足解消策になるとは考えにくい。主な理由として2点挙げたい。