二種免許の受験資格緩和も ドライバー不足は結局解消しそうにない2つの悲しい現実
策にならないふたつの理由

令和3年版交通政策白書によると、2020年時点の労働者の平均年齢は
・バス:51.8歳
・タクシー:59.5歳
となっている。全産業の平均43.2歳と比較するとはるかに高い数値になっていることから、バス・タクシーともに若年層の比率が低いことが伺える(図)。
しかしながら、今回の法改正で拡大される新たな採用対象として期待されるのは19歳と20歳の若年層だ。そもそも取り込めていない働き手層に採用対象を広げたところで、人手不足解消につながるとは思えない。それがひとつ目の理由だ。
さらに、日本の人口は第2次ベビーブーム世代の1973(昭和48)年以降減少傾向にあり、令和2年版厚生労働白書によると、2022年に20歳となる2002年生まれが約115万4000人、19歳となる2003(平成15)年生まれは約112万4000人だ。
これは、1973年生まれ約209万2000人の半分近い水準でしかない。2019年には年間出生数が90万人を割り込んだ。法改正で拡大される層は、バス・タクシー業界が若年層を取り込めていない現状から他産業と取り合うには分が悪いだけでなく、今後もシュリンクし続けることが確定している。これがふたつ目の理由だ。
採用対象の年齢を2歳下げたところで、残念ながら採用難克服の特効薬とはなりえない。一方、冒頭で示した通り、採用難の傾向はバス・タクシー業界に限ったことではなく、日本の産業全体が課題視している。近年、そんな共通課題の対応策として注目されてきたのが、シニア・主婦・外国人など、これまで戦力化が進んでこなかった層の存在だ。
これらの層の戦力化が重要であることは、慢性的採用難状態にあるバス・タクシー業界も例外ではない。それぞれに難しい問題を抱えているが、個々にひもづく目前の課題を整理し、工夫改善に取り組む必要がある。
平均年齢の高さが示すように、すでにシニア層はバス・タクシー業界で多数活躍中だ。しかし、高齢ドライバーによる深刻な事故が相次ぐなど、安全性への懸念がつきまとう。社会の流れは、高齢ドライバーに免許返納を呼びかける方向でもある。
バス・タクシー業界がシニア層の戦力化をさらに進めるには、安全に運行できる車両導入・開発などの事故防止策や独自の適性診断、研修実施など、高齢ドライバーが安心して勤務できる環境を整え、かつ世間の信頼獲得を促進できる活動が必要だ。