なぜ? 欧州で相次ぐ「電車賃」超大幅値下げ 日本は実現できないのか【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(7)
日本では電車運賃の値上げなどが相次いで報じられているが、欧州では各国が公共交通の利用促進に向けた政策を次々に打ち出している。「三方良し」と言える事業の内容を紹介する。
気候変動にも対応、各国が知恵絞る
いよいよドイツ全土で長距離列車を除く全ての公共交通機関が1か月9ユーロ(約1200円)で乗り放題になる気候危機対策が2022年6月1日(水)からスタートする。
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高騰するガソリン価格への対応や気候危機への対応に各国は知恵を絞り、具体の行動を続々と進めている。日本人の常識は世界の非常識になりつつある昨今、世界の動向を報告する。
ニュージーランド、公共交通全て半額
2022年3月からのガソリン価格高騰への対応として、ニュージンランド政府では、4月1日(金)から6月末までの3か月限定として、鉄道や路線バス、フェリーなどの公共交通機関を全て半額とする経済対策を実施している。
併せて、ガソリンにかかる消費税を1リットル当たり25セント割り引く措置を導入した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により公共交通利用の需要回復はニュージーランドでも大きな課題であり、移動制約の緩和した後の移動手段として、公共交通利用を促進したい狙いもあるだろう。また、中低所得者に対する家計の交通費負担割合への緩和も最優先施策だ。
ジャシンダ・アーダーン首相は今後13年間で自動車による走行量を20%削減する目標を掲げており、自動車だけに過度に依存しない、環境にやさしい移動手段の利用を促す政策としても注目されている。