後絶たぬ「親子3人自転車」事故 車体にひそむ構造的課題と意外な解決案とは
大人ひとりと子どもふたりの計3人が乗れる「子ども乗せ自転車」。転倒による事故がしばしば発生し、死亡に至るケースも少なくない。事故を少しでも減らすため、課題と対策について考える。
日本の親子自転車は本当に安全か

2022年4月、大阪府東大阪市で、母親が子どもふたりを乗せて走っていた自転車が転倒し、前の座席に乗っていた3歳の男児が投げ出され、後続のトラックにはねられて亡くなるという事故があった。
警察はトラックのドライバーを自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで現行犯逮捕(その後釈放)したが、当時さまざまなコメントが出たことを記憶している。
筆者(森口将之、モビリティジャーナリスト)もこの事故を聞いて、あらためて思ったことがあった。日本の「子ども乗せ自転車」は果たして安全なのかということだ。親子3人が乗った自転車の転倒・死亡事故は過去にも起きている。
ここでは子ども乗せ自転車という表現を使うが、日本では厳密に言えば、大人と幼児ひとりずつが乗れるタイプだけをこう呼び、幼児ふたりを乗せることができるタイプは、「幼児ふたり同乗用自転車」という名前が付けられている。
この幼児ふたり同乗用自転車は、強度やブレーキ性能、発進時や駐輪時の安定性などのルールを定めたうえで、2009(平成21)年に市販に移された。2輪のまま、前後輪の上にチャイルドシートを設置する形がスタンダードになっている。