「現場の善意はもう限界だ」――猛暑・燃料高・中東情勢で露呈した、平時前提の物流の脆さ

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猛暑・燃料高・人手不足・時間外規制が同時進行し、物流は「現場の無理」で支える構造が限界に到達。軽油1円=約167億円の負担や荷待ち1時間34分が示す通り、供給網は静かに機能不全へ向かう。

四方から削られる物流の余白

全日本トラック協会のウェブサイト(画像:全日本トラック協会)
全日本トラック協会のウェブサイト(画像:全日本トラック協会)

 今の物流を襲っているのは、目先の悩みひとつではないだろう。幾つもの外的な要因が足並みをそろえるように重なっている。全日本トラック協会の算出によれば、軽油価格が1円上がるだけで業界全体には

「年間約167億円」

もの重圧がのしかかる。かつては無理を承知で車を出すことで現場の乱れを収めてきたが、現在のコスト負担はそのような融通を許さない。動くことそのものが重荷となり、運送網が保っていたしなやかさは失われつつある。

 働く時間の壁も厚い。年間960時間という時間外労働の制限によって、遅れを力技で取り戻すやり方は通用しなくなった。そこに追い打ちをかけるのが、近年の記録的な猛暑だ。暑さは人や機械の動きを物理的に阻んでいる。

 2025年の全国平均気温は統計開始以来の上位水準に達し、真夏の午後には積み込みや倉庫内作業が滞る事態を招いた。建設大手の大林組が2026年から7~8月は7時から13時までの勤務を導入したことは、

「暑い時間は動けない」

という現実を認め、仕事のやり方を変えざるを得ない状況を象徴している。

 国土交通省の調べによると、トラックの平均荷待ち時間は1回につき1時間34分に及ぶ。これは燃料と人手を浪費するだけの、生産性のない時間だ。外の環境が険しくなるほど、この停滞の重みが経営を追い詰めていく。時間、人、気温、燃料。物流はいま、あらゆる方面からゆとりを同時に奪われている。

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