もはや「ジャストインタイム」は限界なのか? 中国のレアアース支配に揺れる自動車生産、サプライチェーン再編が進むワケ
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“走るコンピューター”化する自動車産業は、1台数百~数千の半導体とレアアースに依存し、2021年には世界で数百万台規模の減産を招いた供給網危機を経験した。TSMC集中と米中対立が再燃すれば、再び生産停止リスクが現実化する。
半導体確保の死命とシーレーン

自動車の製造現場において、半導体の安定した確保は、もはや生産ラインを動かし続けるための生命線といえる。
「走るコンピューター」とも呼ばれる現代のクルマには、一台あたり数百から数千個もの半導体が組み込まれている。しかし、高度な制御を担うロジック半導体などの生産が、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめとする特定企業に世界の過半数が集中している現状は、供給網における大きな弱点だ。2021年から翌年にかけて起きた世界的な半導体不足では、主要メーカーが数百万台もの減産を強いられた。もし、特定の地域で情勢が悪化し、再び供給が止まるような事態になれば、その影響は当時とは比較にならないほど深刻で、世界中の工場が動きを止めてしまう恐れがある。
この物理的な調達をさらに難しくするのが、海の物流ルート、いわゆるシーレーンのリスクだ。特に台湾海峡や南シナ海周辺で航行が制限されたり、平穏が失われたりすれば、中東からの原油や東南アジアからの部品を運ぶ道筋を変えざるを得なくなる。
ルートを迂回させれば、運ぶ距離が伸びてコストがかさむだけではない。急ぎの荷物を航空便に振り替えることで、輸送費は跳ね上がる。分単位で効率を突き詰めてきた自動車の供給網にとって、主要な航路が使えなくなることは、これまでの生産の仕組みを根底から見直さなければならないほどの、差し迫った重い課題となっている。