「立件されるとは思わなかった?」 電動キックボード初の書類送検、規制緩和は本当に間違いだったのか?――関連事故280件で考える

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都市で広がる電動キックボード。免許不要の制度は市場を生んだ一方、事故280件・違反関与約9割という現実も突きつけた。さらに講習を拒み続けた利用者が全国初の書類送検。利便と安全、その負担は誰が担うのか――制度の評価が割れる理由を追う。

運用上の課題

特定小型原動機付自転車の交通事故発生状況(令和7年中)(画像:警視庁)
特定小型原動機付自転車の交通事故発生状況(令和7年中)(画像:警視庁)

 現在の制度を見ていくと、運用の段階でいくつかの問題が浮かび上がっている。まず目立つのは、教育の仕組みが十分に働いていない点だ。交通違反を繰り返した場合、講習を受ける仕組みはある。だが、当人が受講を拒めば実効性は弱くなる。

 実際、書類送検された29歳の男性のケースでは、警察は電話を5回、はがきを2回送り、少なくとも8回以上の連絡を重ねた。ここまでの対応を個別の違反者に続けることは、警察の本来業務にも影響する。現場の負担は軽くない。

 もうひとつの問題は、利用者の知識のばらつきだ。16歳以上であれば免許がなくても公道を走れるため、交通ルールをどこまで理解しているかは本人任せになっている。さらに見逃せないのが、管理の手間の増加だ。免許という段階を通さず市場を広げた結果、違反後の指導や事故対応に公的資金や人手が多く使われるようになった。2025年、警視庁管内で講習を受けた人は2563人にのぼる。

 このまま推移すれば、ルールを守る利用者が周囲の視線を気にして離れ、規則を軽く見る人だけが残る可能性もある。そうなれば、市場そのものの質が下がりかねない。

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