「立件されるとは思わなかった?」 電動キックボード初の書類送検、規制緩和は本当に間違いだったのか?――関連事故280件で考える

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都市で広がる電動キックボード。免許不要の制度は市場を生んだ一方、事故280件・違反関与約9割という現実も突きつけた。さらに講習を拒み続けた利用者が全国初の書類送検。利便と安全、その負担は誰が担うのか――制度の評価が割れる理由を追う。

対立の構図

特定小型原動機付自転車の交通事故発生状況(令和7年中)(画像:警視庁)
特定小型原動機付自転車の交通事故発生状況(令和7年中)(画像:警視庁)

 議論が対立する理由は、どの問題を先に考えるかの違いにある。

 安全を重く見る立場からすれば、免許を持たない車両が車道を走る状況そのものが不安に映る。実際、事故の大半で交通違反が確認されているという事実は、この見方を裏づける材料になっている。

 これに対し、都市の移動という視点から見れば、制度は新しい乗り物を社会に取り入れる過程ともいえる。利用の壁が高ければ市場は広がらず、技術やサービスの発展も止まってしまう。安全を十分に整えてから導入するのか、それとも導入を進めながら安全面を整えていくのか。両者の議論は、その順序をどう考えるかという違いに行き着く。

 もうひとつ、見過ごせない問題がある。

・個人が受ける利便性
・社会が引き受ける負担

の関係だ。若い世代に移動の自由が広がった一方で、運転経験の浅さによる危険を社会全体が背負う構図も見えてくる。利用者が得る便利さと、周囲が負う危険や行政の手間。そのどちらを重く見るかによって、制度への評価は変わるだろう。

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