「立件されるとは思わなかった?」 電動キックボード初の書類送検、規制緩和は本当に間違いだったのか?――関連事故280件で考える

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都市で広がる電動キックボード。免許不要の制度は市場を生んだ一方、事故280件・違反関与約9割という現実も突きつけた。さらに講習を拒み続けた利用者が全国初の書類送検。利便と安全、その負担は誰が担うのか――制度の評価が割れる理由を追う。

安全最優先の視点

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 電動キックボードの制度に向けられる批判の多くは、交通安全の視点から出ている。警視庁の統計を見ると、その懸念は数字にも表れている。2025年に起きた特定小型原動機付自転車の交通人身事故は

「280件」

だった。なかでも目立つのは、事故の約9割で何らかの交通違反が確認されている点だ。

 年齢別では、20代による事故が120件と全体の約4割を占める。数字から浮かび上がるのは、運転の知識や経験が十分とはいえない人が公道を走ることで、事故の起きやすい状況が生まれているという現実だろう。本来、公道を走るための知識や技能は、利用者が免許取得という形であらかじめ身につけるものと考えられてきた。

 ところが現在の制度では、その前提が変わっている。免許という段階を経ずに利用できるため、市場への参加は大きく広がった。一方で、安全に関する責任の受け止め方は利用者ごとに差が出やすい。結果として、事故の危険を周囲や社会が引き受ける場面も生まれている。

 自動車やバイクの免許制度には、危険な運転をする人を道路から遠ざける働きがある。資格を得る過程そのものが、一定の知識や意識を求めるからだ。これに対し、特定小型原動機付自転車には同じ枠組みがない。行政が講習を命じても、本人が受講を拒めば実際に運転を止めさせる強い手段は限られる。

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