なぜ地方の施設は「クルマでしか行けない場所」にできるのか?―――「免許がない人 = 客ではない」ということ? 東京都民が知らない地方の現実とは
地方の大型施設は、広大な駐車場と車での来場を前提に立地を決める。2026年の国内旅行消費16兆円を前に、効率と収益を優先する現実が、鉄道利用者やインバウンドを市場から遠ざけている。
観光開発の三つの進路

将来に向けてこの状況を変えようとするなら、進む道はいくつかにわかれる。
ひとつは、駅周辺の開発に公的な関与を強めるやり方だ。ふかや花園プレミアム・アウトレット(埼玉県深谷市)のように、
「無理くり駅とバス路線を作って建てる」
という手法がその例といえる。鉄道の本数が1時間に1~2本という厳しい条件でも、行政と企業が足並みをそろえ、新しい拠点を生み出す。
駅前には複雑な権利関係が残りやすい。広い滞在場所を確保し、車での来場も受け止めるとなれば、地主との交渉を乗り越える強い意思がいる。駅前という場所を守りながら、車社会の現実にも向き合う。簡単ではない取り組みだ。
別の道もある。駅から施設までの移動を支える仕組みを徹底して整える方法だ。大洗のように、駅前でレンタサイクルやトゥクトゥクを用意し、不特定多数の客を迎える形がある。自動運転や無人移動を取り入れ、足りない交通手段を補えば、免許を持たない人やインバウンドでも、自家用車に近い感覚で訪れやすくなる。
もうひとつの道は、車の利用を前提に地域づくりを突き詰める方向だ。
「物流施設か工場のつもりで作る」
そんな感覚で、道路のアクセスを第一に据えた開発を進める。駅を拠点とする発想を離れ、高速道路のIC周辺を地域の中心に位置づける形だ。
EVの共同利用を広げ、広い道路網を備えた大きな拠点を集めて整える。駅ではなく、高速道路の出入り口を地域の入り口として扱う考え方になる。地方の車社会という現実に沿った道、といえるかもしれない。