なぜ地方の施設は「クルマでしか行けない場所」にできるのか?―――「免許がない人 = 客ではない」ということ? 東京都民が知らない地方の現実とは
郊外立地が生む収益構造

郊外という場所は、やむを得ず選ばれているわけではない。むしろ、そこには明確な収益の見込みがある。
まず、圧倒的な駐車場の広さが売上に直結する。車一台の来場は平均して3人から4人の客を運ぶ。駅前では数百台分すら確保できないが、郊外なら1000台や2000台規模の駐車が可能になる。
さらに重要なのは、客が持ち帰る荷物の量だ。鉄道利用者は手で持てる分しか買わないが、車の客はトランクが埋まるまで買い物を続ける。この容量の差が、物販における客単価を大きく押し上げる。2026年の国内旅行の平均費用は5万2900円(前年比102.9%)に達し、国内旅行消費は16兆2300億円にのぼる(同)。一客あたりの購買力を引き出すことが、勝負のわかれ目となる。駐車場は、巨大な買い物かごとしての役割を果たすのである。
さらに、道路網との相性も良い。地方では鉄道より高速道路の流れに沿って移動圏が形成されることが多い。車で30分から1時間半の範囲に住む人たちが、ひとつの商圏をつくる。この視点に立てば、「駅から遠い」という指摘は意味を持たない。車が主な移動手段である地域では、施設への入口は駅の改札ではなく、高速道路のインターチェンジ(IC)になる。出入り口近くに店を構えることは、かつて駅前に店を出すのと同じ感覚といえる。
敷地を広く使える点も見逃せない。駅前では土地の狭さや法律の制限、駐車場不足の影響でできることが限られるが、郊外なら事情は異なる。アウトレットモールや大型道の駅のように、都市では難しい規模の施設をつくれる。広い敷地があれば、客は長く滞在する。結果として消費も増える。この体験型の施設は、郊外だからこそ成立する。
車で移動する家族や高齢者にとっても利便性は高い。車内は自分たちだけの空間で、周囲を気にせず移動できる。この気楽さが、多少不便な場所でも足を運ばせる理由になっているのだ。