なぜ地方の施設は「クルマでしか行けない場所」にできるのか?―――「免許がない人 = 客ではない」ということ? 東京都民が知らない地方の現実とは

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地方の大型施設は、広大な駐車場と車での来場を前提に立地を決める。2026年の国内旅行消費16兆円を前に、効率と収益を優先する現実が、鉄道利用者やインバウンドを市場から遠ざけている。

地方観光が抱える三つの構造リスク

「「免許がなければ客じゃない」?なぜ人を集める施設を不便な場所に作るのか?観光に不便を感じる都会民と、住んでいるからわかる地元民の声か」(画像:トゥギャッター)
「「免許がなければ客じゃない」?なぜ人を集める施設を不便な場所に作るのか?観光に不便を感じる都会民と、住んでいるからわかる地元民の声か」(画像:トゥギャッター)

 施設の立地を決める際、地方ではいくつもの壁にぶつかる。その多くは公共交通の状況、土地の事情、そして地域の客層に関わる。

 まず無視できないのが、公共交通の力が弱まっている現実だ。地方ではバスドライバーの不足が続き、鉄道の本数も減っている。移動の足としての役割が徐々に細くなっているのだ。SNSでもこんな声があった。

「バスドライバーを集めてシャトルバスを走らせる時代は、もう終わりかもしれない」

 現場に近い人ほど、そう感じているらしい。多くの人が頼る交通手段に左右される立地は、運行が止まれば来客も止まる。運営側にとって、外部の事情に売り上げを委ねるのは大きな不安材料となる。2026年の国内旅行者数は3億700万人と前年比97.8%に留まる見込みで(「JTB」2026年1月8日発表)、旅行者パイの縮小も脅威を増幅させる。

 もうひとつの課題は、駅前開発にともなう交渉の重さだ。駅周辺の土地は多数の所有者にわかれており、SNSでも

「駅前は立ち退きでとにかくもめる。頑として動かない人もいる」

との声があった。実際、話し合いがまとまるまで長い時間を要する場合も少なくない。土地の値段も高く、郊外の農地と比べると価格は大きく下がる。条件が整えば行政が地域振興の名目で開発を認め、投資も早く動き出す。しかし資金の回転を重視する経営者にとって、数十年かかるかもしれない駅前開発に踏み切るのは容易ではない。

 さらに客層の問題も無視できない。地方の施設は地元住民の利用で支えられることが多く、年に一度の旅行者よりも、月に何度も訪れる常連の方が売り上げに直結する。地方では移動の多くが車になるため、公共交通の通る場所に大規模施設を作れば、週末の道路は渋滞し、生活への影響も避けられない。結果として、駅近よりも広い駐車場を確保できる場所が優先される。

 こうした現実から、施設はバイパス沿いや高速道路の出入り口近くに集中しやすい。事業を維持するため、最も合理的な選択をした結果である。

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