モバイルバッテリー「4月からは充電できません」 機内発火リスクに法が介入、「LCC淘汰」の引き金となるのか?
航空機内のモバイルバッテリー発火事故が相次ぎ、韓国・日本でも法規制を強化。ひとり2個までの制限や機内使用禁止で、航空業界の安全体制と収益構造に大きな再編リスクが生じる。
法改正による利用禁止

リチウムイオンのモバイルバッテリーは、およそ500サイクルで寿命を迎えるとされる。毎日充電を重ねれば、1年半ほどで替えどきになる計算だ。
寿命を過ぎたまま使い続けると、十分に電気をためられないだけではない。内部にガスが生じ、発煙や発火の危険が高まる。こうした事情を受け、環境省や経済産業省は回収の仕組みを整えてきた。国土交通省も動いた。航空法に基づく基準を見直し、機内での扱いを改める方向にかじを切ったのである。
2025年1月には韓国・釜山の空港で、収納棚にあったバッテリーが燃え、機体が損傷する事故が起きた。同年9月には、日本航空の国際線でスマートフォン充電中に煙が出る事案もあった。流れがはっきりしたのは2026年2月27日だ。国交省航空局安全部安全政策課は、国際民間航空機関(ICAO)の国際基準の緊急改訂案を踏まえ、モバイルバッテリーの取扱い変更について意見公募を始めた。
4月中旬からの新基準では、モバイルバッテリーからスマートフォンへ給電する行為に加え、機内コンセントを使ってバッテリー本体を充電することも認められない。機内に持ち込めるのは160Wh以下に限り、
「ひとり2個まで」
とされた。
500サイクルという数字は、劣化した電池が増える現実を示している。発火の確率が高まれば、機体側の消火能力とのつり合いが崩れかねない。持ち込みを2個までに抑えるのは、万一の際に客室乗務員が備え付けの機材で対処できる範囲を見込んだためだろう。
個人の持ち物が機体全体の安全に影響する段階に来た以上、法で線を引く判断は避けられなかった。空の移動は、利便よりもまず安全を優先する。その原則が、改めて前面に出てきたといえる。