高速バスで横行する「相席ブロック」 彼らは迷惑客か、それとも“神客”か?――格安モデルの死角に眠っていたバス業界の埋蔵金
高速バス業界は、直前キャンセルによる“相席ブロック”が引き起こす機会損失を逆手に取り、隣席の独占を正規商品化。バスタ新宿利用者102%・便数91%のひっ迫市場で、空間を収益に変える新たな座席戦略が動き出した。
洗練された移動サービスへの転換

相席ブロックという一部の利用者による振る舞いは、日本の高速バス業界における収益の仕組みを大きく進化させるきっかけとなった。事業者はこれまで損失として処理するしかなかった「隣の空席」を、確実な利益をもたらす商品へと鮮やかに転換しつつある。
インターネットを通じた予約の普及は、利便性を高めた一方で、手続きの匿名性が身勝手な予約行動を助長した側面も否定できない。だが業界はこうした負の側面を封じ込めるだけでなく、潜在的なニーズを掘り起こす原動力に変えてみせた。
日本の高速バス市場は、不特定多数を一度に運ぶ効率性だけを追求する形態から脱却した。利用者は移動中の時間を自分だけで占有することに価値を見出し、納得できる金額を支払う段階に入っている。
かつての100円という安すぎる手数料で放置されていた空間は、今や運賃の50%や100%といった正当な対価、あるいは数千円単位の付加価値を生む商品へと姿を変えた。高速バス業界は今、限られた車内空間の密度をコントロールし、それを権利として販売する、洗練された移動サービスへの歩みを進めている。