高速バスで横行する「相席ブロック」 彼らは迷惑客か、それとも“神客”か?――格安モデルの死角に眠っていたバス業界の埋蔵金
高速バス業界は、直前キャンセルによる“相席ブロック”が引き起こす機会損失を逆手に取り、隣席の独占を正規商品化。バスタ新宿利用者102%・便数91%のひっ迫市場で、空間を収益に変える新たな座席戦略が動き出した。
需給バランスの歪み
コロナ禍を経て高速バス需要が回復するなか、市場では需給の不一致が深刻化している。国土交通省のデータによれば、2025年10月第3週の「バスタ新宿」利用者数はコロナ禍前の102%に達した一方、バスの発着便数は91%にとどまる。
ドライバーの労働時間規制強化の影響もあり、1便あたりの混雑率が高まっている。供給が絞られた結果、以前は期待できた「隣が空いているかもしれない」という偶然性は消滅し、車内の空間そのものが高い希少価値を持つようになった。
このひっ迫した環境下で、ジェイアールバス関東が2022年頃から把握し始めた相席ブロックが深刻な影を落としている。乗客が隣り合う複数の座席を予約し、出発直前に一部をキャンセルして意図的に周囲を空席にする手法だ。その背景には、
・他者との密着を避けたい
・長距離移動における快適さを確保したい
という消費者の欲求がある。ネット予約の普及は、窓口での対面を介さず手続きを完結させるため、こうした行為への心理的な抵抗をなくした。
利用者は移動の権利に付随する空間を自分勝手に切り離し、不備のある予約の仕組みを悪用して、空間部分だけを不当に安く入手しているのだ。