高速バスで横行する「相席ブロック」 彼らは迷惑客か、それとも“神客”か?――格安モデルの死角に眠っていたバス業界の埋蔵金
高速バス業界は、直前キャンセルによる“相席ブロック”が引き起こす機会損失を逆手に取り、隣席の独占を正規商品化。バスタ新宿利用者102%・便数91%のひっ迫市場で、空間を収益に変える新たな座席戦略が動き出した。
安価な移動とプライバシーの衝突
問題の根っこは、
・低価格での大量輸送を前提としたこれまでの仕組み
・現代の消費者が求める空間の質
が衝突している点にある。高速バスは長い間、安価な移動手段として重宝されてきた。だが近年のプライバシー意識の高まりにより、見知らぬ他者と長時間密着して過ごす心理的な壁は高くなっている。
相席ブロックは、安価で窮屈な4列シートと、高価で快適な3列独立シートの中間に位置する商品が不足しているために起きた現象だ。これは利用者が、サービスの枠組み自体が抱える不備を突いて、自ら空間を確保しようとした結果である。
ネット予約の普及により、窓口や電話を介さず手続きが行えるようになったことも大きい。対面での気まずさが解消されたことで、身勝手な振る舞いへの心理的な障壁が取り払われた。
移動中に動画を視聴したり仕事をしたりする現在の利用形態において、隣接する他者の存在は情報の安全性を損なうリスクにもなる。物理的な快適さだけでなく、デジタル環境の安全性を確保したいという欲求が空間消費の質を変えている。
事業者はこれを一部のモラルに欠ける振る舞いとして切り捨てず、空間を占有する権利に対する確実な支払い意欲の現れと見なして、サービスの提供方法を改める必要がある。