「おもてなし」の限界――インバウンド消費9.5兆円が隠す「深刻な観光公害」、資産の安売りを断つ「容量経営」の必然とは

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インバウンド4270万人、消費額9.5兆円。活況の裏で、日本は無形の社会資本を切り崩す「消耗戦」に陥っている。政府は対策地域を100カ所へ倍増するが、課題は規模ではなく有限な資源を適正な対価で管理する体制の確立だ。おもてなしの幻想を脱し、データと価格による強固な収益体系へ転換できるか。国家の命運を占う。

5年後と10年後の転換点

インバウンドが見た日本の風景イメージ(画像:Pexels)
インバウンドが見た日本の風景イメージ(画像:Pexels)

 今後の変化は明確である。5年以内に主要な観光地では、住民以外に負担を求める二重価格や入域管理が社会の標準となり、混雑状況に応じて変動する交通運賃も広く普及するはずだ。

 京都市が導入するマイナンバーカードと交通系ICカードの連携は、居住地や属性に応じて料金を変えるための確実な基盤となる。地方でも、特定の層を対象とした高単価市場が着実に形成されていくだろう。

 10年の期間を見据えると、観光は都市計画や交通計画と一体化し、地域の成否を測る指標はインバウンド数という単純な数字から、限られた空間でいかに効率的に利益を得ているかという収益密度に移行する。また、日本人の海外旅行が過去最多の19年(2008万人)を超える水準まで活発化することも、国内サービスの品質を国際水準まで押し上げる要因として作用する。

 最終的には、高度な計算技術が需要予測から価格変動、人流の誘導までを自動的に制御し、伝統的な奉仕は機械による管理を補完する付加価値として高額に扱われるようになる。この競争で勝つのは、多くの客を集めた地域ではなく、住民の生活満足度と高い収益性を、最も低い環境負荷で両立させた地域である。

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