「現金派」は置き去りなのか? 「ETC専用化」で高速道路に広がる“勝ち組と負け組”
2026年2月時点で90%を超えたETC普及率。高速道路の料金所は物理的停止から解放され、都市の交通網はデジタル管理へ移行した。しかし利便性の裏で、非ETC利用者は物理的・制度的に排除されつつある現実がある。
海外との違い

海外の高速道路における料金収受の実態を見ると、日本のシステムがいかに運営側の確実性を優先した特殊な思想に基づいているかがわかる。
欧州で主流となっている車両ナンバー認識による事後精算は、法的な追跡能力を背景とした信頼に基づく仕組みであり、利用者に特定の通信機器の所有を求めない。インフラ構築の初期コストを抑えつつ、利用者の参入障壁を下げることを優先した合理性の現れだ。
これに対して、日本のETCがゲートによる物理的な制動をともなうのは、取り漏らしを極限まで排除しようとする完璧主義の反映だろう。この収受の確実性を維持する代償として、利用者は車載器の購入やカード発行という経済的負担を強いられ、特定の技術体系に固定される。
北米の都市部でも無人化は進んでいるが、代わりとなる決済手段を確保し、多様な利用形態を許容する枠組みを残している例が見られる。一方、日本は車載器とカードという二重の依存構造を前提とすることで、運営側の管理業務を簡略化させている。
利便性や技術的な柔軟性を追求するよりも、確実に徴収を行うという運営側の論理が、利用者の負担を上回っている。これが日本の現状だ。