「現金派」は置き去りなのか? 「ETC専用化」で高速道路に広がる“勝ち組と負け組”
2026年2月時点で90%を超えたETC普及率。高速道路の料金所は物理的停止から解放され、都市の交通網はデジタル管理へ移行した。しかし利便性の裏で、非ETC利用者は物理的・制度的に排除されつつある現実がある。
料金所の存在意義

日本の高速道路には、かつて本線上に料金所が配置されていた。
・東名高速道路「豊川本線料金所」
・北陸自動車道「米原本線料金所」
・中国自動車道「山崎本線料金所」
など。これらは確実な通行料金の徴収や不正通行の防止を目的としていたが、ETCの普及でその存在意義が薄れたため、2000年代に相次いで撤去された。
これらの料金所では、車両がブース内で一時停止し、係員に通行券を渡して検札を受ける仕組みだった。その結果、料金所の手前には長い列ができ、激しい渋滞の要因になっていた。
ただし当時、渋滞は不利益としてのみ捉えられていたわけではない。むしろ、一度交通の流れを物理的に遮ることで、下流の交通容量が飽和するのを防ぐ流入調整の役割を担わせていた側面がある。
また、人間が直接介在することによる監視、確認、抑止の効果は、確実な収益確保だけでなく、過積載車両などの進入を物理的に遮る検問として機能していた。インフラの寿命を守る防衛線でもあった。
首都高でも本線上に料金所を配置する事例は多く、出入口ではなく本線上で全ての通行確認を行う場所も存在した。しかし、2000年以降のETC普及や交通流の円滑化への要求が高まり、羽田線の平和島本線料金所や湾岸線の大井本線料金所のように、運用終了と撤去が進んでいる。
現場でのアナログな監視体制から、デジタルな情報処理による管理へ。インフラの運用思想が移り変わった結果だろう。